第27回懇話会を開催しました

第27回
2025年11月29日(土)14時~16時30分

講師:入倉 孝次郎 氏

1960~1963年在寮。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業。京都大学防災研究所教授、所長、京都大学理事、副学長を歴任。京都大学名誉教授。愛知工業大学客員教授。入倉孝次郎地震動研究所所長。元日本地震学会会長、文部科学省地震調査委員会委員。強震動地震学を研究。著書に「巨大地震の予知と防災」など。2010年より本学寮理事。

講演題目:観測地震学の最前線

 現在、地震の日時、場所、規模を正確に特定する「地震予知」は極めて困難である。しかし、「いつ」「どこで」「どのくらい」の地震が起きる可能性があるか、という長期的な確率や傾向を評価する「地震予測」は行われていることを最新の研究成果をもとにわかりやすく講演された。そして2011年の東日本大震災の発生を受け、北海道沖から房総半島沖までの海底に整備された日本海溝海底地震津波観測網(S-net)、そして紀伊半島沖から室戸岬沖にかけて整備された地震・津波観測監視システム(DONET)、さらには、これら全国の陸域から海域までを網羅する「陸海統合地震津波火山観測網」(MOWLAS)の概要について、強震動観測の重要性とともに解説された。 また、最近、高知県沖から日向灘にかけて南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)が整備され、2025年9月に運用開始したことを紹介され、今後発生する可能性のある巨大地震に対する対策についても触れられた。講演は多くの最新の研究成果を含み、極めて興味深く、講演後は講演内容について幅広く質疑応答、議論が行われた。